新しい学期が始まった
フィリピンでは、学校は3月に終わり、4月5月と2ヶ月間の長い夏休みを経て、6月から新しい学期が始まります。「学制」も、日本とは少し違っています。6歳で小学校に入学し、6年間の勉学は日本と同じ。しかし、次が「ハイスクール」となり、中学校、高等学校の区別がなく、つながっているのです。しかも、4年間で卒業です。そして、すぐに大学。これは4年間。つまり、大学を通常卒業する年齢が、日本より2年早くて、20歳なのです。
私がカオハガン島にやってきた20数年前は、カオハガン島は隣のパンガナン島にある小学校の分校ということで、小学校の2年までの授業が行なわれているだけでした。3年になると、隣の島まで海を歩いて通わなければなりません。あまり教育には熱心でなかった島民たちは、そこで学校に通うのをやめてしまいました。ですから、現在、20代後半以上の年齢のほとんどの島民は、小学校2年終了の学歴なのです。
少し経って関係省庁と交渉をはじめ、私たちも校舎の建設などを手伝って、1994年から島で小学校6年までの教育が行なわれるようになりました。適齢の子どもたち全員が小学校に通い始めたときには、ホッとしたものです。
さて、今年2010年の6月に始まった新学期。「カオハガン小学校」には、104名の子どもたちの名前が登録され、学びはじめます。そのうち、一年生は35名。総人口が570~580名くらいですから、子どもの数はとても多いですねぇ。
14年ほど前から、そんな小学校の卒業生から、成績が優秀で意欲の感じられる生徒を選んで、毎年3人くらいをハイスクールへ、その中から、更に良い成績を取り続けている生徒を数名ずつ大学に、奨学金を与えて進学させています。「スカラーシップ制度」を始めたのです。
はじめのうちは、セブの学校に入学するとおどおどしてしまい、または3階建ての校舎で勉強するのが怖いと言って戻ってきてしまう子がいたりして、なかなかうまくいきませんでした。
今年は、ハイスクールで14人、大学で9人が、奨学金をいただいて学びます。上級の学校で学ぶことが、カオハガンのコミュニティにしっかりと根付いてきた気がしています。
もう7年も前の2003年に、たくさんの方のご努力で、ジュディス・タリが日本の大分県の「立命館アジア太平洋大学」に留学することができました。当時発足した直後の、日本で初めての本格的な国際大学です。ジュディスはそこで「エコ・ツーリズム」を学び、無事卒業をし、その後和歌山県の「ホテル浦島」で、ホテル実習を3年間受けていたのです。
今年4月のはじめに帰島し、4月20日から、私たちが運営している宿泊の施設「カオハガン・ハウス」で働き始めました。
マネージャーのセベロのアシスタントとして、まずは業務全体を覚えてもらうこと。そのほかに与えた、顧客名簿の整理、予約受付業務、お客様の接待などをしっかりとこなしてくれます。日本語も、昨年の暮に日本で会って感じたときよりも一段と上達している感じです。
そして、約50日が経過した今、強く感じていることは、ジュディスは、ビジネスをする上での最低限の約束事というか「常識」をしっかりと身につけているということです。頼まれたことを責任を持って実行するとか、その結果を報告するとか、問題があれば途中で相談をするとか。ジュディスには安心して仕事が任せられるのです。
人間としては、すばらしい人たち。深いモラル(道徳)などは、日本人よりよほどしっかりと持っている。しかし、「ビジネスのコモンセンス」をカオハガンの人たちはまったく持っていない、ということがジュディスを通してしっかりと分かったのです。
そうこうしているうちに、そんな差を強く感じたのでしょうか、セベロが辞めると言い出したのです。そんなことで、この6月8日から、ジュディスは「カオハガン・ハウス」マネージャーとして働き始めました。
私たちがカオハガンで行なっている、いくつかの「ソーシャル・ビジネス(利潤を目的としていないビジネス)」のリーダーとして、将来のカオハガンの若者たちを引っ張って行ってくれることでしょう。
バージニアとオーゴスティーナの二人がミドワイフ(保健士のような仕事)を学び、国家試験に合格しました。今、島で、島民たちの医療援助の世話をしてくれています。
これからは、大学で学んでいる若者たちが続々と卒業してきます。皆、優秀な成績を取り続けています。
来年は、イズミラルダが小学校の教職課程を終えて、まず間違いなくカオハガン小学校の先生として赴任し、子どもたちの指導をしてくれることでしょう。
その後の先生候補としては、サラ、イスリーンが続きます。
再来年にはジョセリーンがサンカルロス大学の海洋生物学部を卒業し、多分、大学院で学び始めます。カオハガンの沖合いではじめている「カオハガン島熱帯珊瑚礁保護区」を、より高い次元からリードしてくれるでしょう。
リュニタが4年制のホテル・マネージメント学部を卒業します。
マルリンとジョナリンが会計を学んでいます。
今年奨学生に選ばれたジャニスは、看護士に挑戦します。
数年後には、島に戻って来たこれらの若者たちが、カオハガンというコミュニティの「持続可能な、自立」をしっかりと支えてくれることでしょう。
これらは、ほんとうにたくさんの方々のご支援の賜物なのです。心よりのお礼を申し上げます。
ありがとうございます。
2010年6月12日
カオハガンにて 崎山 克彦
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)



最近のコメント